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妻から「げんこつで何発も…」 “男性へのDV”増加、日常的な「暴言・暴力」も“被害”自覚できず…元夫の体験ン

男性のDV被害が増加している。警察庁によると、全国の警察にDV被害を相談した男性は2023年で2万4684件。公開のデータでは2019年から4年連続の増加となっている。一方で女性からの相談件数は割合こそ全体の7割を超えているものの増減は横ばいで、傾向の違いは鮮明だ。

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「男性のDV被害増えている感覚ある」と弁護士

こうした傾向について、離婚の相談実績も豊富な辻本奈保弁護士は次のように推測する。

「確かに男性のDV被害が増えている感覚はあります。多様性の文脈でいろいろな側面で男女の差が小さくなり、むかしに比べていまや女性も自立している状況です。

経済面でも“対等”な夫婦やカップルが増えていますから、どちらかに被害が偏る土壌はなくなってきているといえます。価値観の変化なども影響しており、今後、さらに顕在化していくのではないでしょうか」

男性DV被害者がその内容を告白

弁護士JPニュース編集部は、実際にDV被害にあったという40代男性(以下、Aさん)にコンタクトできた。あくまで一事例に過ぎないが、その証言から、男性が女性から受けるDV被害の実態が垣間見れた。

Aさんが相手の女性と知り合ったのは学生時代。その後、結婚し、夫婦生活がスタートする。ところが蜜月関係は長く続かず、半年後には2人の間にギスギスした空気が漂い始める。

ちょっとしたことでとがめられたり、ときにはたんこぶができるほど頭を拳で殴られたこともあったという。ほとんどが妻側からの一方的な“暴力”だった。

当時のことを「常にストレスがあり、嵐が過ぎ去るの待つ毎日だった」とAさんは振り返り、次のようにその時の心の内を明かした。

「夫婦の会話の中で、私の発言に対し、妻から“モラハラだ”と指摘されることもありました。もちろんそんなつもりはありませんでしたが、相手がそうした思いを抱いていることが激しいあたりにつながっているのかもと思い、申し訳ない気持ちもどこかにありました。男だから反撃するのもよくないという考えもありました」

妻側もAさんに対し、なんらかの‟被害”を感じていた。そうした中で、ぶつかり合いになったとき、Aさんが抵抗しなかった。その結果、形の上では、妻から夫への一方的な“暴力”という構図になったーー。

Aさんの告白からにじむのは、そんないびつな関係性だ。

なぜ自分が被害者と気づけなかったのか

自らの意思で無抵抗を選択したからだろう。はたから見れば、ひどいDVに思えるが、Aさん自身は、「当時は自分がDV被害者とは全く思いませんでした」と証言する。会社の同僚や友人にも相談しなかったという。

「妻のことをよく知らない人に妻の行動を話すのはアンフェアだと感じていました。だから、仲の良い友達にも口にすることはしませんでした。

最終的に友達に話した時には『なぜ言ってくれなかったんだ!』と怒られました。当時はDV被害者の自覚がなかったとはいえ、相談くらいはすべきだったと深く反省しています」(Aさん)

家庭で擦り切れた心身は、職場の同僚から頼りにされることなどが活力となり、なんとか中和されていたという。

被害にあったとき最初にとるべき行動

DV被害にあったとき、あるいは判然としないが、パートナーとの関係性に違和感がある。そんなとき、最初にとるべき行動は絞られている。前述の辻本弁護士が助言する。

「まずは誰かに話してみることです。男性だから言いづらい、いうべきでないということは全くありません。

そもそも、一口にDVといっても身体的暴力だけでなく、さまざまな態様があります。それを知らないで、被害を受け続けてしまうこともあり得ます。一人で抱え込んでも状況はよくなるどころか悪化するばかりです。

少しでも『なにかおかしい』と感じたら友人でもいいですし、弁護士や支援団体にも躊躇せず相談してください」

肉体的な暴力だけでないDVの形態

「暴力」でひとくくりにされがちだが、DVにはいくつかの形態がある。男女共同参画局のHPには、身体的、精神的、性的なものとしてDVの3つの態様が紹介されている。

「げんこつで殴られ」「ののしられた」というAさんのケースは身体的、精神的なDV被害ということになるだろう。

精神的被害には、「無視する」や「実家や友人の付き合いを制限する」などもあり、知らなければDVとは気づけないかもしれない。

性的DVについては「見たくないのにポルノビデオや雑誌をみせる」「性行為を強要する」なども挙げられており、夫婦であれば、すぐにはDVだと認知しづらいだろう。

辻本弁護士によれば、夫婦間のDVのケースでは多くの場合、離婚を前提にした相談になるという。そうしたことも踏まえ、早めに専門家や機関などへ相談することが、状況を打開するうえでも有効になる。

5年間耐えたAさんはどのように離婚に至ったのか

前述のAさんは結局、5年近い婚姻生活の末、離婚した。

離婚したい思いは抱いていたというAさんだが、そのための行動をとることはしなかったという。結果的に常にギスギスした空気が漂う夫婦間の溝は最後まで埋まらなかった。

「離婚が成立した時、やっとストレスのない生活が送れると率直に思いました。一人の生活になり、少しずつ心の余裕が戻る中で、他の人の男性DV被害といわれる事例を目にすることなどもあり、徐々に自分もDV被害にあっていたんだと認識できるようになりました。

私と同じように夫婦間での辛い思いをひとりで抱え込み、問題に気づかないまま苦しんでいる人はいると思います。そういう人に言いたいのは、絶対に誰かに相談してほしいということです。

『自分が悪い』とか、『男だから』といったことを理由にして、口にすることを躊躇しているなら、そんなことは気にする必要はありません!」

平穏な日々を取り戻したいま、毎日を充実して過ごせているというAさんは呼びかけるようにアドバイスを送り、その言葉に力を込めた。

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